
世界の三大失敗をご存知だろうか。タコマ橋の崩壊、コメット飛行機の墜落、リバティー船の沈没…。これらは人類に新たな課題を与え、それと向き合うことで我々はさらなる技術向上の機会を得た。一方日本では、JCO臨界事故、三菱自動車のリコール隠し、雪印の品質管理の怠慢など、失敗の隠匿がさらなる悲劇を引き起こした。
本書によると、失敗は、未知との遭遇による「良い失敗」と、人間の怠慢による「悪い失敗」の2種類に分けられる。不可避である「良い失敗」から物事の新しい側面を発見し、仮想失敗体験をすることで「悪い失敗」を最小限に抑えることが重要である、と筆者は説いている。
また、過去の豊富な例から学ぶことで失敗の本質を多角的に検証する方法や、時間がたつと形骸化してしまう失敗例を効果的に伝承する方法についても言及している。さらに、マニュアル化した対応方法では前例のない事態が生じたときに対応できなくなるとして、とっさの判断力や創造力を養う失敗経験を教育に取り入れることを提唱する。
本書は、親しみやすい入門書の形で我々に「失敗学」の重要性を伝えている。世界の失敗の歴史についても多く扱っているので、読み物としても楽しめる。(佐藤敏正)
Amazonでのコメント:社会人として必要な知識
完全ではない人間にとってミスや失敗はつきもの。
それを隠すのではなく、「知識」として体系化する必要性が
理解できる。世代を経るにつれて、失敗に対する危機感が薄れていく
その対策が書かれている必見の本だと思います
失敗は成功の母、まさにこの一言に尽きる
人はできるだけ「失敗」せずに人生を過ごしたいと考えます。
しかし、失敗から学べるものは偉大で、それを教訓にすることでより大きな成功を収めることができるということを教えてくれる一冊です。
特に日本では失敗が悪しきものととらわれがちであるため、人はすぐに失敗を隠してしまいます。(私もそうですが・・・)
ただの不注意による失敗は別ですが、本書を読むことで失敗することへの恐れが少し薄くなるように思います。
読んで損はない本
私が畑村教授の名を知ったのは、昨年の3月、都内の超高層ビルで起きた回転ドア事故の原因追究を描出したNHKのドキュメンタリー番組である。この番組では、畑村教授が主宰し、ビルのオーナー企業や回転ドアメーカーの技術者や医師などが参画している「ドアプロジェクト」なるものの活動が紹介されていた。
その中で畑村教授の提唱する「失敗学」という言葉が私の興味を引き、本書を購読したのだが、他のレビューにもあるとおり一読する価値のある書物と思われる。著者は理工科系の研究者だが、文章は平易で読みやすい。特に第2章や3章などは、平素、実務面で気を付けておきたいポイントだ。
最後に少しばかり脱線するが、本書を読んでいて、日本人の「失敗を忌み嫌う意識」というのは、ひょっとして「言霊(ことだま)信仰」(井沢元彦氏)と関係があるのかな、とふと感じた。
