
Amazonでのコメント:「楽園」とオトナ社会の狭間で
と言うわけで、吉田秋生です。
ついこの前、ラヴァーズ・キスを紹介したばかりなのに。。。
http://cat-cradle.air-nifty.com/cats_cradle/2006/09/post_4e49.html
今、はまっているね。あらためて。
初出が「少女コミック」、ってのは驚かされる。
例のごとく、主人公は高校生の男女なんだけど本書のプロットは相当他の吉田の物語とは異っている。
どちらかと言うといつもは、主人公の若者と同期して、成長して行くと言うか時間が過ぎて行く、へんな言い方だけどロードムービー的な流れがあったように思う。
その中では、オトナ、と言うのはいやおうなく向かう場所である、あるいは高校生活の「楽園」はそのオトナの世界に来てしまった未来の主人公達のふり返る場所と言う意味では、同じベクトルの上にあった。
しかし本書では、それちょっと違う。
ここでは、オトナの世界は、「楽園」の高校生からは、あくまで対立軸としてとらえられている気がする。
まだ、上巻に当たる1巻ではそこんところは明確ではなく、いつも通りの学園生活の面白さの中に、少しずついつもと異質のオトナの黒さが、主人公の少女を仲介にかもし出される予感で終わっている。
いつもとは違って、今回は、上下ひっくるめてではなく(実際には1,2巻だけど)、それぞれにきちんと書く事にしよう。工夫された表紙を尊重して。
多少物足りなさはあるけど
小夜子には、結局多少不思議な力があったのかな?その辺がちょっと微妙。読者の想像にまかせるって感じなのだろうか。。。
結構読者の想像にまかせる感じが他にも色々あったのが、すこーし不満かも。もうちょっとほっさげて、描いてほしかったかも!
同性の目から見ると格好よく見える小夜子だけど、男からみると、怖い。なんか、すごい納得しちゃった。
小夜子はたちまわりも強いけど、どーしてあんなに強いのかな。
そこも知りたかったわ。そして小夜子が家を出ていた理由って、例の火事が原因だったの?そこも微妙。。。
祖父母が小夜子を好きだった理由もはっきりとはわかんなかったし。
読んだあとも疑問がたくさん残ったわ。
孤独な天女
男という性に復讐する小夜子。
小夜子をおぞましいとは思えないし、
残虐な行為に清々しさを感じるこの自分も、
彼女に似た部分を持っているのかもしれない。
きっと男という性を憎んでいる。
女の武器を行使しても、女という性に甘んじきれない。
小夜子は永遠に孤独な天女のまま生きていくだろう。
でもそれは、彼女の境遇からくる精神的な強さのためではない。
こうでなきゃね、吉田秋生さんは
これは彼女の作品の中でもTOPクラスの出来栄えだと思います。
BANANA・FISH、カリフォルニア物語など名作は他にも多々ありますが、これも良い。
そんなに長編ではないけど、非常に奥の深いストーリで中身はズッシリ。
読み始めると止まらなくなってラストまで読んでしまう事でしょう。
乗りの軽いものではありませんから娯楽とは言い難いかもしれませんが、
読んでおく価値のある作品には違いありません。
吉祥天女 (1) (小学館文庫)








